スキャンダルな贈り物♡
だ…だれ?
怖くて、体が震える。
すうっと、息を吸う音が聞こえた。
「なんだよ?そのカメラ」
口を覆われたまま、後ろから話す誰か。
声からして、後ろにいる人物は男だ。
「マスコミの人?俺のこと探ってんの?」
続けてその【誰か】が話す。
「スキャンダル会社の人?やるねえ。俺くらいの歳の人派遣するなんて。」
ははっと、一笑いするその【誰か】。
だんだんと、私の口を覆う力が弱まっていった。
「ねえ?なんか言ってよ」
………この人、何言ってるんだろ。
自分から口を覆っている相手に向かって、「喋れ」なんて言うんだ。
ちょっと…おかしい。
『ん゛ん゛ん゛!』
私はちょっとの隙を見て、必死に唸って抵抗する。
私は今必死に、゛あなたが口を塞いでいるから話せないのよ!゛って言ってるつもり。
言葉になってないってことはわかってる。
「ツバ汚ねぇ!俺の手につけんな」
私が対抗する際に出た唾液が、その【誰か】の手にベッタリとついた。
そうして、私の口は開放される。
『なんなんですか!?ストーカー!?訴えますよ?』
そう言いながら後ろを振り向く。
その【誰か】は、少し目を丸めてこう言った。
「ストーカー?それはどっちだよ、勘弁してくれ」
確かに見覚えのある、さっきまで見ていた顔。
さっきまで…カメラ越しで見ていた顔。
私の目の前にいる【誰か】の正体は、桜田圭斗だった。