スキャンダルな贈り物♡
仕事
『はぁ…仕事多すぎ……』
カチカチと目の前のパソコンに目をやる。
ローマ字を打つのも、この仕事をしていくうちに慣れてきたのか、打つ時間が早くなった。
肩、手、目…色々な場所が痛い。
「細川ー!お前夕方空いてるかー?」
バタバタと走ってきたのは、部長の藍村。
自称【パゲ】。
私は、チラッと腕の時計の針に目をやる。
時刻はまだ11時半をちょっと過ぎたところだった。
藍村部長が私のディスクの隣に来た。
「細川!今日の夕…お前は空いてなさそうだな」
私のディスクの上にある資料の量を見て察したのか、ため息まじりに部長が話す。
『ははっ。その通りです。今日は残業ですね~』
藍村部長の反応ぶりに多少の笑みと苛つきを覚える。
…お前が代わりにやれよ。
「その量じゃあ、残業でもキツイな?まあ、頑張れや。オレは同じ課のやつと飲むぞ。だからお前も誘ってみたんだが…」
『期待に添えなくて申し訳ありません』
「いやいいんだ。ボーナスあげてあげるかもしれないから頑張れよ!…かもだけど。」
部長の迷い気味の言葉に反応する。
『ボーナス上げてくれるんですか!?』
「いや。゛かも゛だから。あくまでも。あんまり期待はしないでええぞ」
私の押しを殺すかのように部長が否定する。
『ええ~。なんだ。まぁ分かりました。作業に集中するので失礼しますね。それと、飲み過ぎないように』
「お前に言われなくてもわかっとるわい」
軽く注意すると、笑いながら部長はそのまま作業室を出た。
私は再び、ディスクに戻る。
向かいの社員が見えなくなるほどの山積みの資料に、すこしの目眩とダルさを覚える。
引き出しから眼鏡を取り出して、再びパソコンに向かった。