スキャンダルな贈り物♡
ダッシュで家に入る。
現時刻、午後五時。
まぁ、いいだろう。
『お風呂お風呂っ』
急いでお風呂のスイッチを押す。
しばらくして、お湯が出てきた。
美奈実につけられたヘアフレグランスの匂いが、異常に髪にへばりつく。
……………おえ。
こういう匂い、本当にダメだなぁ。
だったらまだ、生ゴミの匂い嗅いでたほうがいいや。
『早くお風呂沸かないかなぁ』
お風呂を待ちながら、リビングでテレビを見る。
この時間のテレビは、どこもニュース。
おもしろくないので、子供向けテレビを見た。
子供向け番組は、なぜか子供向けな感じじゃなく、親向けの企画を放送していた。
「テレビの前の皆さん。こんばんは。お子さんは今はお昼寝ですか?おやつですか?
お子さんと並びながら見てみてください」
綺麗なアナウンサーが、カメラドアップで流れる。
なぜか夢中になってみていた。
「まず、保護者の皆さん。
お子さんの育児、大変ですよねぇ~。
ここで今日は、目の保養として!
イケメンスペシャルゲストをお呼びしております!
では、ゲストさん、いらっしゃ~い!」
…今の子供番組って、こんなんやってんのか。
私が昔小さかった頃は、もっともっと子供向けな
パズルとか隠れんぼとかだったのに。
しばらくして、スペシャルゲストが現れた。
…そのゲストは……
「桜田圭斗さんで~す!」
………圭斗。
テレビ越しに写る圭斗を見る。
今日の彼は、黒のスキニーパンツにチェックのパーカーと言う、ニートスタイル。
圭斗が着る今回の衣装は、比較的地味目だが、その地味目を感じさせないルックスが魅力だった。
アナウンサーが話す。
「いや~やっぱりイケメンですね。改めましてスペシャルゲスト、桜田圭斗さんです」
「よろしくおねがいします」
「今頃テレビの前の皆さん、デレデレですね!」
「育児に集中してくださいよ?」
アナウンサーと桜田圭斗が、仲良さ気に話す。
桜田圭斗が、笑いながら話していた。
このアナウンサーとも、仲良いのかな?
しばらくして、桜田圭斗への質問コーナーが始まった。
「圭斗さん!今回は質問コーナーを用意しておりますよ」
『楽屋にあった資料で見ました。事前準備バッチリッス」
圭斗が、カメラ目線でニコッと笑った。
アナウンサーが続いて話す。
「といっても、1つなんですけどね。でもこの1つがすごく難しいんですよ、いきますよ?
圭斗さんが、将来結婚して、子供を産んだとします。そしたら、この仕事は続けますか?やめますか?」
……なんこれ。究極すぎじゃん。
圭斗の返事を待つ。
しばらくして、圭斗が答えた。
「そうッスね~。俺、子供とか今のところ作る気…ないです。子供って可愛いけど、俺、寝るの大好きなんで、育児しないで子供と寝ちゃいそうなんで」
ケラケラ、と圭斗が笑った。
「んでもって、そうなると奥さんがかわいそうじゃないですか。
俺が今たとえば彼女が居たとして、その相手と
夜の営みをしたときに、その営みの理由は何だろ?って考えます。
子作りのため?欲求解消のため?
俺は愛情表現です。
体全部で愛を伝える、そしてその愛で出来た愛の結晶が、俺と俺の奥さんの゛子供゛じゃないですか。
ちなみに俺、もし子供出来たとしたら。
ちゃんと育児しますよ。んで、俺と子どもと奥さんで、またこの番組出ますから」
…。
「いや~!圭斗さん深いですね!そこまで考えてるんですね」
拍手をしながら、アナウンサーが絶賛した。
「いや。楽屋でフッと思っただけっすよ」
「こういう人を旦那さんにしたいですね~。今日は、圭斗さんをゲストにしてよかったです」
「いえ。こちらこそ、来てよかったっす」
「では、今日のゲスト、桜田圭斗さんでした!ありがとうございました!」
そのまま、スタジオから、圭斗が姿を消した。
スタジオ会場内で、拍手が行き渡る。
なんだか照れくさくなった私は、そのままお風呂に向かった。