スキャンダルな贈り物♡
「ついたよ」
『あ、早っ』
いつのまにか、私の目の前には、圭斗の家が建ってあった。
ボーッとしすぎて、よく見てなかった。
「今日も安全運転!さすが俺!」
『安全運転お疲れ様です』
料金を払って、タクシーを出る。
ニコッと笑った和真さんは、ハンドルを握り直すと、猛スピードで元の道路へ消えていってしまった。
…。
信号無視してるし……
圭斗は、暖かい友達を持ってるなぁ。
なんだか、頬が緩む。
目の前にある大きな家へ、足先を移した。
圭斗、居るかなぁ…?
リビングの電気がついているか見ようとしたが、カーテンが閉まっていて確認はできない。
サングラスとマスクを忘れてきてしまったので、持ってきたマフラーを頭にぐるぐる巻きにした。
玄関前の、赤いポスト。
…の中に、手を突っ込む。
『あれ…ない』
あれ?
鍵がない。
もう一度、昼間圭斗からもらったメールを確認する。
そのメールには、しっかり、゛ポストに鍵入れておくから゛と書いてあった。
…やばい。
誰か盗んだ?
それとも圭斗が置き忘れた?
やばいやばいやばいよう。
混乱して、玄関の取っ手に手をかける。
…と。
ーーーーーガチャ。
『開いた…』
圭斗のやつ。
用心しなさすぎでしょ。
まったく、可愛いなぁ。
玄関に足を入れると、一発目、私の大好きな香りがお出迎えしてくれた。
石鹸の香り。
靴を揃えて、中に入る。
さっきあけた玄関の鍵を、180度回して鍵を閉めた。
スリッパに履き替え、奥に進む。
リビングは、エアコンのせいかとても暖かかった。
『ふう』
外と中との寒暖差に、思わず溜息が出る。
あったかーい。
ほのかに漂うコーヒーの匂いが、私の体をリラックスさせた。
前一度来た時に座ったソファに腰掛ける。
前と同様、お尻が吸い込まれた。
背もたれに、背をかけた瞬間。
「ただいまくらい言えねえのか」
背後で、今まで聞きたかった声が聞こえた。
そして近づく、コーヒーの香り。
振り向いた瞬間。
見たことない笑顔が待っていた。
私もつられて笑う。
そして、目の前の人は言った。
「おかえり」