スキャンダルな贈り物♡
汗でにじむ髪。
涙でにじむ視界。
それを優しく埋めたのは……和真の優しいキスだった。
□□□
『ねえ、和真』
「ん?」
絡みを終えた私達は、ベッドに二人で横になった。
ひとつ違うのは、終わったあとの気持ちと、相手と、カーテンが開いてること。
『和真は優しいね』
「まーなー」
『私、和真みたいな人がいいなぁ…』
なんの心もなく、目を閉じながら言ったこと。
和真は、目の色を変えて答えた。
「まじ?」
『うん…………』
「んじゃあ、俺のモンになる?」
和真が、半分起き上がって聞いてきた。
………………もう、どうでもいい。
私がいつか、『きっとしたい!』と語った恋愛。
それは、
・カッコイくて優しい彼氏さんと付きあうこと。
・周りから認められて羨ましがられるカップルになる。
・幸せになる。
ぜーんぶぜーんぶ、和真となら叶えられる。
和真なら、叶えてくれる。
うん、と言おうとしたとき。
《 俺の女になってよ 》
出会った時に圭斗が言った言葉が頭をよぎった。
《 優那居なきゃダメだわ、俺 》
圭斗………
圭斗………
圭斗、圭斗ぉ……………
私、何やってんだろう。
何考えてたんだろう。
私は圭斗がすきなのに。
ただ、それだけだいいじゃない。
いつから、相手からの愛をも要求できるくらい我儘になったんだろう。
私って………贅沢だ。
『ごめん……和真…。私…………圭斗が…』
「…」
和真は何も答えない。
目からあふれる、涙。
とまらない。
私は圭斗が……すき………………………
「わかってたよ」
和真がぽつり、とつぶやいた。
『え?』
「わかってた、優那がそういうってこと」
『………』
「あんなに圭斗を思ってんだもん。一回のエッチくらいで気変わりなんてするよーな女じゃねーだろ?優那」
ん、と言って、和真が腕を広げた。
私はその腕に誘導されるように、腕の中に入り込む。
その人肌の暖かさに、涙が止まらずだった。
『う、ゔ、うわあああああん!ぅ、あ…んんん』
「俺とのことは、ひとつのリフレッシュと思っとけ。元気出して。明日から圭斗とがんばれよ」
『うん、ん、うんっ、……ありが…う、ありがとぅ………うぅあ…』
泣きだした涙は止まらない。
『ありがとぉ…………………』
和真の目を見て、ちゃんと言った。
「ん」
いいえ、と、和真は言った。
………………………………………………………チュ。
「えっ」
先に驚いた声を出したのは、和真だった。
『……ありがとう』
私は和真に、キスをした。
それからベッドを降りて、リビングに行って着替えた。
その後の寝室での和真のひとこと。
「どんだけだよ…………好きだよ、優那……」
私は、この言葉を聞いていなかった。
聞こえるはずがなかった。
………聞こえないほうが、よかった。