何度でもつかまえて
7
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お祭の季節になった。
橘が気を遣って仲が良い子と行くお祭りに誘ってくれていた。
私はお母さんに浴衣を着せてもらって、待ち合わせの鳥居の前に行った。
「おーい、西川こっち!」
人混みを押し退けて、私を呼ぶ橘のところに行く。同じクラスの友達もその彼氏の子も集まっていた。
「浴衣かわいー」
「西川かわいよ」
「千里その色似合う!」
「そ、そうかな…」
社交辞令だとは分かっていた。夏休み前まで私と話そうとさえしなかった子達なのだから。
それでも嬉しかった。お母さんが四苦八苦しながら着せてくれたことに感謝した。
少しずつ友達との関係を戻していきたいと思う。
「永瀬に見せてあげなよ」
「あいつ来るの?」
「もちろん呼んだに決まってる。もうすぐ来るよ」
橘の気遣いは嬉しいけど、顔合わせにくいな…
「おーい永瀬、こっち!」
永瀬が部活の仲間とこっちに歩いてくるのが見えた。
「永瀬…」
自然と声が震える。
「あ…」
永瀬は私を見るなり慌てて視線をそらした。そしてそのまま歩き出す。みんなで屋台の並ぶ人混みを歩き始めた。
今まであんなにはっきり態度に表されたことはなかった。いつもは挨拶ぐらいはしてくれていたのに。
何で永瀬のことでこんなに悩まなければいけないんだ。胸が痛い。
ねえ永瀬…私がああ言ったから…もう私の腕を引いてくれないの?一緒に歩いてくれないの?追いかけてもくれないの?
「ちょっと西川!」
私は走り出した。そばにいた橘が慌てて叫んだけど、私は止まらなかった。
人込みをかき分けて走るのは簡単じゃなかった。何度も人にぶつかった。せっかく着せてもらった浴衣もはだけてしまう。
気付いたら神社の裏まで走っていた。ここまで屋台は出ていないから人も来ない。
「バカみたいだ私…」
楽しいはずのお祭で一人何やってんだ…
本当に私はバカだ。何を期待しているんだ。
今日はこのまま帰ろう。橘に連絡しようとスマートフォンを出したときだった。
「千里!」
お祭の季節になった。
橘が気を遣って仲が良い子と行くお祭りに誘ってくれていた。
私はお母さんに浴衣を着せてもらって、待ち合わせの鳥居の前に行った。
「おーい、西川こっち!」
人混みを押し退けて、私を呼ぶ橘のところに行く。同じクラスの友達もその彼氏の子も集まっていた。
「浴衣かわいー」
「西川かわいよ」
「千里その色似合う!」
「そ、そうかな…」
社交辞令だとは分かっていた。夏休み前まで私と話そうとさえしなかった子達なのだから。
それでも嬉しかった。お母さんが四苦八苦しながら着せてくれたことに感謝した。
少しずつ友達との関係を戻していきたいと思う。
「永瀬に見せてあげなよ」
「あいつ来るの?」
「もちろん呼んだに決まってる。もうすぐ来るよ」
橘の気遣いは嬉しいけど、顔合わせにくいな…
「おーい永瀬、こっち!」
永瀬が部活の仲間とこっちに歩いてくるのが見えた。
「永瀬…」
自然と声が震える。
「あ…」
永瀬は私を見るなり慌てて視線をそらした。そしてそのまま歩き出す。みんなで屋台の並ぶ人混みを歩き始めた。
今まであんなにはっきり態度に表されたことはなかった。いつもは挨拶ぐらいはしてくれていたのに。
何で永瀬のことでこんなに悩まなければいけないんだ。胸が痛い。
ねえ永瀬…私がああ言ったから…もう私の腕を引いてくれないの?一緒に歩いてくれないの?追いかけてもくれないの?
「ちょっと西川!」
私は走り出した。そばにいた橘が慌てて叫んだけど、私は止まらなかった。
人込みをかき分けて走るのは簡単じゃなかった。何度も人にぶつかった。せっかく着せてもらった浴衣もはだけてしまう。
気付いたら神社の裏まで走っていた。ここまで屋台は出ていないから人も来ない。
「バカみたいだ私…」
楽しいはずのお祭で一人何やってんだ…
本当に私はバカだ。何を期待しているんだ。
今日はこのまま帰ろう。橘に連絡しようとスマートフォンを出したときだった。
「千里!」