女神の落としモノ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーー
宿へと向かう道の途中で、突然視線を感じた。
「……………?」
足を止めて振り返ってみる。
そこにはただ行き交う人達がいるだけで、特に変わったモノはない。
なんだろう、なんか、見られてるような感じがするんだよね…気のせいなの?
「おい、人を引きずっといて、立ち止まるたぁどういう事だよ」
シドは不機嫌そうに私の腕を引く。
それでも、私はそこから動けなかった。
なんなの………?
この違和感…………嫌な、予感というか………
「るーな?どうしたの?」
イオンも黙りこくって立ち尽くす私の顔を心配そうにのぞきこむ。
ー『アレが、女神の選んだ純潔の乙女だな』
「……………え?」
声が………聞こえる…。男の人の声だ。
誰の声?
シドやイオンには聞こえてないの!?
『そうです、我が王。目覚める前に………』
また、違う声………?
今度は女の人の声だった。
『そうだな。おや、気づいているみたいだな、純潔の乙女』
『我らの気配に気づいたのですか?やはり、彼女が………』
私の事?
この声、どこから聞こえてくるんだろう………
神経を研ぎ澄ます。
ーキィィィン
「耳鳴り………?」
なんだろう、人混みの中に、二人組の男女の姿が見えた気がした。
それも一瞬で、すぐに人混みに紛れわからなくなる。