女神の落としモノ
『純潔の乙女……早く穢れよ。そしてこの手に……』
ーゾクッ
嫌な悪寒が体を襲う。
これ以上関わってはいけないと、本能が警告している。
「や、やだ……………」
耳を塞ぎしゃがみこむ。
これ以上聞きたくない!!怖い!!
「おい!!」
シドが一緒にしゃがみこみ、私の肩を揺すった。
「声っ……怖いっ…」
「声?声がどうしたの?」
イオンは私の背中を擦ってくれる。
「声が……聞こえる…の…」
「声?そんなもん聞こえねぇぞ?」
違う………
聞こえたんだよ、本当に………
でも、二人には聞こえてない?
じゃあ、私にしか聞こえないってこと……?
「……チッ、ほら、こっち向け」
「シド…………」
シドは私の頬を両手で包み、視線を合わせてくる。
「んな泣きそうな顔すんな。対応に困るだろーが。大丈夫だ、俺はそこら辺の人間よりもはるかに強ぇから」
シドは不敵に笑う。
何故か、それがとてつもなく私を安心させた。
シドなら、確かに何でも倒しちゃうんだろうな。
わかりづらいけど、私を守ってくれるって言ってるんだよね。