女神の落としモノ


「うん…ありがとう、シド」


だから、私はやっと笑う事が出来た。


「ほら、海風で体が冷えちゃうよ?宿へ行こう?」


イオンに手を引かれ、立ち上がる。
それを見届けたシドが私の前を歩く。


ありがとう、シド、イオン。
この世界に来て、頼れるものもなくて……
本当なら今、一人でさ迷ってたかもしれない。


ううん、あの島からすら出られてなかったはず。
そう思うと、今更ながら体が震え出した。



「寒い?大丈夫、もう着くよ」


それを寒さだと勘違いしたイオンに曖昧に笑みを返す。



ー女神様……
私、ちゃんと出来るかな………?
ううん、やってみせる。
それでも、やっぱり不安に思うのは、私が弱いからなのかな……


だから、強くなるよ、私。
あなたが消えないように、約束したもんね。



私は決意をして、すっかり暮れてしまった空を見上げる。
星空が、女神様に繋がっているのなら……


どうか、私を見守っていて。
私、頑張るから!!










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