女神の落としモノ


「身近にいる大切な人も幸せに出来ないあなたに、領主なんて勤まるはずない!!宝剣も持つ資格ない!」


ーパリンッ


宝剣の青い石が割れ、青い光が溢れ出す。
宝剣は形を失っていく。


「あ、あぁ……私の、宝剣がぁぁ!!!」

「な、なに!?宝剣が!?」


宝剣が、消えていく!?


『るな………羽を……』

「女神様!?」


この声、女神様の声だ!!!
羽って………


まさか、この宝剣が……
女神様の…私の探し物……?



『在るべき姿へと…還して…』

「在るべき………姿…………」

『♪♪♪~』


そして、歌が聞こえる。
あ…この歌は…………


ー帰りたい

ー温かな場所へと

ー帰りたい

ー母なるゆりかごへ


これ………
これは、誰の声?


悲しくて、故郷を思うような……
ううん、お母さんに会いたい、そんな願い…


『歌って…るな……』


歌う………?
私が歌ったら、この声は帰りたい場所へ行けるの…?


だとしたら、私が………
私が、帰してあげる。


そして、ベルとバルイットさんが解り合えるように、必要のない力は消そう。


「るな!お前、光って………」


シドに言われて気付く。私は黄金に輝いていた。


「………帰ろう、怖くないよ……」


まるで怯えるように光る宝剣に、私は笑いかける。
そして………


『♪♪♪~』


私は歌った。
歌詞は無い、想いの歌。


迷っている光を導く為の歌。















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