女神の落としモノ


「私は、父さんと母さんを愛しています。家族として、傍にいて支えたい。これからの時間は、共に過ごせなかった分、沢山話をしましょう。私は、父さんの事をもっと知りたい。義母さんとも、もっと話をしたい」



ベルの言葉に、バルイットさんは強く頷いた。



「あぁ、ベル。私を許してくれ、愛している。私は、ただ利用価値があるからとマヌラと再婚をしたが、酷い事をした。シリーはもういないが、ベルとマヌラと三人でこれからもう一度家族として過ごそう」


二人が寄り添うと、世界に光が溢れ、私たちを現実へと戻した。見渡せば、さっきの広間だ。



そして目の前に羽が現れる。


ー想いは繋がれた…


「ありがとう、あなたのおかげだよ!」


また、ベルやバルイットさんが笑い合える日が来て良かった。家族はやっぱり、笑い合えるのがいいよね!


ー散らばった翼をあなたは探さなくてはならない


散らばった……羽……
この翼は、女神様の翼の羽……?



「お前…それなんだ?」


シドは私の隣に立ち、同じように羽を見つめる。


これは…………


『私の翼を探して』


あの女神様の言葉を思い出す。
そう、これが………



「私の…私の探し物!」



まだ一つ。
やっと見つけられた………



「お帰りなさい!」


笑顔で両手を広げると、羽は私の胸に吸い込まれていった。
そして……


『家族の愛…あなたは何を思う?』


突然視界が真っ暗になり、声だけが響き渡る。


この声を私は知っていた。
女神様だ…………












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