女神の落としモノ
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「おい」
「うっわー!ジェットコースターみたいだったー!」
まさに絶叫マシーン!
ワイヤーアクションは人生で初めて体験だよ!!
「おい……」
「あ、ジェットコースターっていうのはね、」
「聞いてねぇから、黙っとけ」
「むぐーっ!!」
すごい剣幕のシドに、片手で口を塞がれる。
それから呆れるようにため息をついた。
「お前、なんであんなとこにいんだよ。どうりですぐに見つからなかったわけだ」
「ん?んぐ、んぐんぐ!?」
(え、探してくれてたの!?)
私、勝手に出てったのに!?
シド達の事、突き放したのは私自身だったのに……
「わ、悪かった。俺も言い過ぎた。俺の価値観だから、押し付けてもしょうがねぇって思ってたんだよ…」
照れたように頭をガシガシと掻くシド。
そんなシドに私は首を横に振った。
そして、シドの手を外すと、その手を握ったまま、私は頭を下げる。
「私、世間知らずだった。どんなに恵まれた環境にいても、幸せじゃなかったり、恵まれない環境の中でも、幸せだったと思えたり……」
世の中は簡単に出来てない。
人によって、何が一番大切なのか……
誰かにとっては地位や権力が。
そのまた誰かにとっては、家族が。
はたまた、宝や金が…
そして、共に生きる仲間が……
「その人が、何を価値あるものと思うのかなんて、人それぞれなんだよね。シドが海賊であっても、シドにはシドの、信じるモノがあるんだって知ったの」
海賊だからって私は偏見の目で見てたんじゃないかな。
だから、シドの思いを知りたいと思う反面、たとえ義賊であっても、シド達のやってる事は間違ってるって、決めつけてた。
そんな私に、シドも気づいていたんだと思う。
だから、話しても無駄だって思わせちゃった。
「ねぇ、シド。私にもう一度教えて欲しい、シドの信念っていうか、目指すモノを」
そして今度は、共に歩んでいきたい。
ちゃんと理解して、仲間になりたい。