女神の落としモノ
「おい、イオン。その気色悪い顔を止めろ」
「酷いなぁ、シド。いつも通りじゃん」
そういうイオンは、ニヤニヤと確かに気色悪い顔をしていた。
「頭ぁー、オアシスが見えてきやした!」
船員の声で私は顔を上げる。
すると、そこには………
「わぁ……綺麗……」
砂漠の中で唯一存在する湖と、そこに栄える国があった。
ここが、砂漠の国、アルハジャール…
「今回の目的は、天泣の杭(テンキュウノクイ)だ。アルハジャール王家の王に受け継がれる黄金の宝だ」
天泣の杭………。
また、あの宝剣と同じように、女神様の翼の羽かもしれない。でも………
「王様の宝なんて、盗めるの?」
「まぁ、今回は難しいかもね。だから、今回は旅芸人として城に潜入するんだよ♪」
「潜入………って、ええ!!?」
なに、そんな物騒な事を笑顔で言ってんの!?
もう、怖い!!この人怖いよ!!
「とりあえず、準備だ。今日の夜に城に入るからな、打ち合わせるぞ」
あぁ、私………。
一体何をさせられるんだろ。
というか、私のせいでバレちゃうとか、想像しただけで冷や汗と動悸、息切れがぁっ!!