女神の落としモノ
『るな………ありがとう。あなたを信じてる』
女神様は嬉しそうに笑った。
そして、私の両手をとる。
わっ………透けてない。
神様って触れるんだ………
そんな呑気な事を考えていると、繋いだ手から熱が体の中に入ってくるのを感じた。
「な、何!?」
「私の、るな……たくさんの出会いや、たくさんの想いを育んで、素敵なーーになって……」
…………えっ……?
最後、女神様が何て言ったのか、聞こえなかった。
ただ、どこか儚げに微笑む女神様の顔に、胸が締め付けられる。
………女神様………?
「女神、ルシェルが命ずる。異界の扉を開け!!」
ーゴォォォォォッ!!!
突然、足元に扉が現れる。
そして…………
「へっ………ひ、ひゃぁああああっ!!?」
体が宙へと投げ出された。
そのまま、物凄い勢いで下降していく。
「お、おおおお父さんっ!!お母さんっ!!!」
さようなら、私の人生!!
大抵の事は、ノリと勢いでなんとかなったけど、こればっかりは………
私、もう駄目っ……………!!!
そこで、意識を手放した。