女神の落としモノ
夜の帳が落ち、月が砂漠を照らす頃。
私達はアルハジャール国のお城、シェグリース城へと入城した。
宿場で作戦を練った結果、私達は旅芸人として城に潜入する事になった。
「なんか、スースーする!」
私が旅芸人として着飾ったのは、インド人が着ているような白の薄い布地に、黄金の装飾。胸元には碧色の宝石が輝いている。頭からベールを被っているせいか、視界が狭い。
「暑いからちょうどいいじゃん?」
イオンは笑いながらくるりと一回転する。
腰にサーベルが差さったままだ。
「ねぇ、イオン?サーベル腰に差したままでいいの?」
銃刀法違反とかで捕まったりしない!?
王様の住んでる場所でしょ??
「これは、芸で使うからいいんだよ♪ね、シド」
「あぁ…」
イオンはずっとソッポをむいているシドの背中に話しかける。そう言えば、シドはさっきから何を怒ってるんだろ。
ソッポ何か向いちゃって……
「シド、こっち見てよー」
「ばっ、近づくな!目のやり場に困るだろーが!!」
私が近づくと、シドは驚くくらい真っ赤な顔で慌てふためいた。
「え」
まさか。
いや、まさかまさか…………
「この格好に照れてんの!?」
「胸元が開きすぎだ!!てめぇ、娼婦になるつもりかよ!!」
私の頭をグイッと押し、シドはスタスタと歩いて行ってしまう。そんなシドが面白くて、追いかけた。