女神の落としモノ


「照れ屋さんだなぁ、シドは!そんなんじゃ、水着なんて見たらシド、倒れちゃうよ?」


ビキニなんて、下着で歩いてるようなものだもんね。
体のラインだって隠れてるし、そんなに照れなくてもいいのに!


「みず……ぎ?」

「そう!私の世界にある、海に入るときに着る服なんだけどねー」



私は簡単に水着の形状を説明する。
シドは信じられないと言わんばかりに絶句した。


そして、不審そうに私を見つめる。


「お前、正気か?売られるぞ?」

「それが普通な世界なの!大袈裟だなぁ~」



まさか、顔に似合わず純真?
いや、まさか童貞とか!?このイカツイ面で!?


すでに私の頭の中はまさかまさかのオンパレードだった。



「この世界では通じない常識しかねぇから、お前は危なっかしいんだよ。すぐに痛い目見んぞ」

「あはは、でも………シドが守ってくれるんでしょ?」


少し先を歩いて、私はシドを振り返り笑顔を浮かべる。



うん、シドが守ってくれる。
この世界で、唯一私を見つけてくれた人。
いなくなった私を、探してくれた人………



きっと、シドなら大丈夫。
私の信じられる人だもん。


「俺頼みかよ、現金な奴め。高く付くからな!」

「はぁ~い」

「わかってねぇだろ、てめぇ…」


ねぇ、シド、気づいてる?
シドのその言葉は、私を守るって言ったのと同じなんだよ。



「へへっ、シド、ありがとう!頼りにしてるよ!私の王子様♪」

「お、王子だぁ!?からかうな!ちんちくりん!」


照れて怒るシドに、心から寂しさや不安が薄れていくのを感じる。


私、シドと、出会えて良かったよ……










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