女神の落としモノ
異世界シエルガイア
ー世界 シエルガイア
「頭~!!もうすぐルシェル廃塔へ着きやす!!」
「おー、んじゃ、テメェ等!!乗り込むぜ!!」
ーオオォォォッ!!!
まるで地響きのような雄叫びが響き渡る。
「とんでもねぇ宝と出会いそうな予感がすんだよな………」
俺、シド・ライアスは海賊の頭領になって10年が経つ。今日はまるで引き寄せられるように、ここへとやって来た。
ルシェル廃塔…………
かつて、女神が住まったといわれる伝説の塔か………
今じゃ、廃れて見る影もねぇが、当時の献上品だとか、宝がわんさかあるらしいじゃねぇか。
魔物が棲みついちまって、簡単には手が出せねぇが、俺たち
海賊 『紅の星』なら、なんとかなんだろ。
「シド~、今回は楽しめそうだよねぇ」
「相変わらず、顔に似合わねぇ性格してんな、お前」
親友のイオン・コモンズが俺の隣に立つ。
一見、金髪碧眼の可愛らしい好青年だが、腹黒い男だ。
「顔に似合わないのは、シドもでしょ?喋らなければ、女性みたいに綺麗……」
「叩き斬んぞ」
誰が女だ、この野郎。
俺はサーベルを抜き放ち、イオンに突きつけた。