女神の落としモノ
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ルシェル廃塔へ足を踏み入れると、噂に、聞いていたように、魔物が現れる事は無かった。
「拍子抜けしちゃうよね?」
心底残念そうなイオンに俺は呆れる。
「いいだろ、楽なら」
どんどん階段を上り、頂上を目指す。
すると………
ーフワリ
俺の視界に白い何かが目に入った。
それは俺だけでは無かったようで、他の奴等も声を上げる。
「何だ!?」
「は、羽っすよ!!」
羽だぁ…………?
見上げれば、頂上から羽が降ってくる。
螺旋階段のまだ中段あたり、俺は手すりに近づき、上を見上げた。その時………
ーヒュウゥゥゥ!!
それは降ってきた。
美しい漆黒の長髪をもつ、少女が落ちてきた。
「嘘だろ!?」
俺は手すりに足をかけ、慌てて手を伸ばす。
そしてその、手を掴んだと思ったら………
「しまっ……」
「シド!?」
イオンの伸ばした手にも捕まれず、滑り落ち、そのまま一緒に落下してしまった。