エターナル・フロンティア~後編~

 しかし、その前にやらないといけないことがあった。普段ソラが利用しているベッドの中にリオルを入れ一緒に寝るわけにはいかないので、リオル専用の寝床を作らないといけない。

 椅子の上で静かに待っているように言い聞かせると、ソラは寝床の代わりになる物を探しはじめる。そして普段物置として使用している部屋から見付かったのは、無地の小さい箱。

 その箱はリオルの寝床に使用するにはちょうどいいサイズだったので、箱の中に新品のふかふかの毛布を詰めていき、簡易的な寝床を作成する。見た目は立派な寝床というわけにはいかなかったが、リオルにとってはこれで満足だったのだろう毛布に顔を埋め尻尾を振っている。

 可愛らしいリオルの姿に口許を緩めつつ身体を撫でると、ソラはパソコンを使い犬の飼育方法について調べていく。本当は犬の飼育方法を熟知しているユアンから聞き出せれば一番良かったのだが、相手は子供のように臍を曲げていたので聞き出せる状況ではなかった。

 しかしソラが暮らしている時代は文明文化が発達し、人類が宇宙に進出している世界なので、パソコンを使いネット回線に接続さえすれば犬の飼育方法を簡単に調べることができる。

 日頃利用している検索用のサイトを画面に開くと、ソラは素早い動きでキーボードを打ち犬の飼育方法を検索する。流石、大手の検索サイトいうべきか瞬時に多くの情報が表示される。

(多いな)

 画面に表示された情報量に唖然となってしまうが、間違った知識でリオルを病気にさせるわけにはいかないのでひとつひとつじっくりと目を通していく。それにより多くの知識を学ぶことができたが、長時間パソコンの画面と睨めっこをしていたので目が疲れ肩が重い。

 ソラは休憩をしようとパソコンの電源を切り、視線を足下に落とす。簡易の寝床を作った当初リオルは動き回って元気だったが、今は疲れてしまったのだろう身体を丸くし眠っている。一緒に暮らす愛らしい相棒の姿に目元を緩めつつ、人差し指でリオルの喉を撫でる。

 その時、ソラの腹が空腹を訴え間延びした音を鳴らす。身体が訴えてくる音にソラは椅子から腰を上げると、キッチンへ向かい冷蔵庫の中にどのような食材が残っているのか確かめる。

 現在、冷蔵庫と冷凍庫の中に残っているのは肉と野菜と数匹の魚。そして、幾つかの調味料と冷凍食品。腕前が高いソラがこれらを使い調理すれば美味しい料理を複数作ることが可能だが、彼の身体は空腹を訴えているので長い時間を掛けて料理を作るのも面倒だった。
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