エターナル・フロンティア~後編~
「触っていい」
「リオルを?」
「子犬……リオルって、名前?」
「そう。で、男の子。触ることは構わないけど……リオルは、イリアに懐くかどうかわからない」
「性格、荒いの?」
イリアの疑問に、ソラは口籠ってしまう。流石、探求と追求を主としている職業に就いている幼馴染。彼の態度からリオルの性格を見抜くと、本当に言葉の通り性格が荒いのかどうか尋ねる。それに対しソラは頷き返すと、今のところ自分以外の者に懐いていないと話す。
リオルがユアンの部下に行なったのは、噛み付きや引っ掻き攻撃。ソラ以外の人物を毛嫌いしているので、威嚇の迫力は半端ない。それらの攻撃により大怪我を負ったという話を耳にしていないが、彼等に相当のトラウマを植え付け一部の者は犬嫌いになった確率が高い。
幼馴染が語るリオルの恐ろしい一面にイリアは驚愕し、口籠ってしまう。また自分も同じことをされるのではないかと恐怖し、イリアの顔が青褪めだす。しかしそれでも幼馴染が飼っている子犬に会いたい気持ちが強いのだろう、ソラが抱いた状態で触れ合いたいと頼む。
「それでいい?」
「だって、怖いし……」
「確かに」
「だから……」
リオルの他者を排除する性格を考えると、抱き締めてのスキンシップが安全といっていい。だからといって、相手はあのやんちゃで行動が読めないリオル。いくらきちんと抱き締め安全を図っていても、隙を狙って逃げ出しイリア目掛けて噛み付いたりするかもしれない。
何かあってからは遅いと、それらの点を考慮に入れつつリオルと会ってほしいとイリアに忠告という名の警告をする。彼の物々しい言い方にイリアは躊躇いの表情を作るが、リオルに会い触れ合いたいという気持ちの方が勝るのだろう、彼の忠告を受け入れ大きく頷き返す。
「で、今日は驚いただろう」
「急に、どうして?」
リオルの話から一変、ソラは自分がこの場所にいて疑問に思わないか尋ねる。勿論、イリアも先程からそれが気になっていたが、なかなかタイミングが掴めなかったらしく理由を聞けなかったという。また、ソラがいるということは何か危機が迫っているのか心配する。