エターナル・フロンティア~後編~
「で、皆様方は?」
「終わった」
それに続くのは、相手を労う言葉。それでも素直に受け取ることができないのが、三人が持つプライド。彼等の周囲に漂う不穏な空気は先程以上に悪くなっていき、ピリピリとした刺激が加わる。危険――そうソラが予想した瞬間、彼の危惧は現実となり争いが勃発する。
「そうでしたか、気付きませんでした」
「何?」
「きっと、たいした発表ではなかったのでしょう。素晴らしい発表でしたら、記憶に残っています」
すると自分の言い方が悪かったことに気付いたのか、発言を訂正する。訂正するが発言は辛辣そのもので、訂正とは言い難い発言だった。ユアンの発言を聞いていた三人の顔は引き攣りだし、周囲で彼等のやり取りを眺めていた者達も不穏な空気を感じ取ったのか、動揺を隠せない。
「正しいです」
「本当に、そう思うのか?」
「我々を馬鹿に……」
「そのようなことはありません。貴方方の勘違いでしょう。もっと、自信を持つべきですね」
ユアンの言い方に、今度はソラの顔が引き攣る。「どうしてそのようなことを言うのか」と心の中で呟くが、倍返しの反撃が恐ろしいのでユアンの言動を諌めることはしない。ただ、最悪と呼べる状況に行かないことを願うしかないが、彼の願いが叶えられることはなかった。
「見下しているのだろう?」
「どうして、そう思います?」
「言い方が、そうだ。自分が優秀で、他の追随を許さないという雰囲気を漂わせている。今回も、我々を見下している。確かに高い知識を有しているのはわかるが、その性格が気に入らない」
「では、どうすれば?」
「謝れ」
「何故ですか」
「謝罪だ」
理解できない発言に、ユアンの柔和な表情が崩れ不機嫌になってくる。そして現在の彼の表情は、血を求め非情な行動を行なう時に見せる表情そのものといっていい。だが、それを知らない三人はユアンに謝罪を求め続け、自分自身を知らぬ間に追い詰めていくのだった。