エターナル・フロンティア~後編~
幸い、到着したのが昼前だったので店は混雑していなかったので、待つことなくすぐに席に座ることができ、メニューを開き料理を選ぶ。イリアはソラと食事ができることが嬉しいのだろう、笑顔が絶えない。ソラも同等の感情を抱いているのだろう、口許を緩めていた。
二人が交わすのは他愛のない会話であったが、真の恋人同士として身も心が通じ合った今、その他愛のない会話であったとしても楽しく感じることができた。それに美味しい食事が二人の会話を更に弾ませ、彼等にとって素晴らしくも有意義な時間が流れていくのだった。
「カディオが、何と言うか……」
「どうしたの?」
「あいつは、彼女を作るのに必死で……以前、あいつと一緒にアカデミーに行ったじゃないか。あの時も、素敵な彼女を見付けるって宣言していた。結局、特定の誰かを見付けられなかったというか、大事一歩手前まで行って大変だったけど、何とか切り抜けることができた」
「じゃあ、私達が付き合っていると知ったら、カディオさんに言われちゃうかもしれないね」
「それが心配」
ソラが、恋人を作った。それも幼馴染のイリアと知ったら、必ず何か言われるに違いない。一応、付き合いだしたことを祝福してくれるだろうが、大半は先を越されたと悔しがるだろう。カディオの性格を知っているイリアは彼のわかり易い態度に、クスクスと笑い出す。
「内緒がいい?」
「多分……無理」
「勘がいいものね」
「勘がいいというか、良すぎる部分があるんだよ。だから、きちんと言った方がいいと思う」
「平気?」
「何かされるってことはないよ……多分だけど。あのように見えて、カディオはシッカリしているから。ちょっと暑苦しい部分があるけど、あいつはいい奴だしいい友人だと思っている。で、イリア……」
「何かしら」
「もし、良かったら……」
何か言いづらいことなのか、徐々に言葉が曖昧になっていく。その言い方に何か悪いことを言われるのではないかと、不安たっぷりの表情を作る。しかしイリアにとって悪いことを言うわけではなく、どちらかといえば喜ばしいことを言おうとしていたのだが、羞恥心の方が強い。