エターナル・フロンティア~後編~
何故、彼女が両親を嫌っているのか――流石に、心が抉り取られるような内容を直接問い質すことはできない。幼馴染と恋人の立場を利用して、無理矢理聞き出すこともできなくもないが、ソラはそのようなことを行う人物ではない。また、そのようなことをしたいとも思わない。
暫しの沈黙の後、オドオドとした態度でイリアが口を開く。自分はソラと一緒に暮らしたいが、今すぐにそのことを叶えるのは難しい。だから願いが叶うまでの間、時々でいいから家に遊びに行っていいか尋ねる。勿論、それについてソラは断ることなく、素直に了承した。
「有難う」
「ただ、昔のイリアなら……」
「昔って?」
「早朝の押しかけ」
「あ、あの時は……」
「結構、きついんだぞ。疲れている時は遅くまで寝たいし、オレ朝が弱いから身体がもたない」
「……気を付けるわ」
あの時の出来事を思い出したのだろう、イリアは申し訳ない気持ちにいっぱいになりソラと視線を合わせられなくなってしまう。ソラと恋人になった今、相手が嫌がることをするわけにはいかない。イリアは会いに行く時は、昼に近い時刻に訪ねていくと約束するのだった。
「そうしてくれると、助かる」
「あと、連絡は……」
「いつものように、パソコンの方で頼む。携帯の方に送られても、返信に困ることが多いから」
「仕事が、忙しいものね」
「それは、イリアも変わらないだろう?」
「いつまでも、学生気分ではいられないものね。でも、大丈夫。ソラに心配を掛けないように、頑張るわ」
望んで今の職業に就いたのだから、懸命に頑張らないといけない。実力を示せば上に行ける世界なので、日々の努力は欠かせない。しかしイリアの職業で思い出すのは、目指すべき道が別の部分にあるというもの。だが、これについてソラが追求することはなく、彼女に任せた。
また、この話をしているといつも暗くなってしまう。だからソラは別の話に切り替え、暗い話を払拭する。それはカディオの恋愛についての面白話で、余程愉快だったのだろうイリアがクスクスと笑い出す。また、どのような部分を改善していけばいいか、話し合った。