エターナル・フロンティア~後編~
カディオの恋愛スタイルの何処が悪いのか、一方何処が素敵なのか――イリアはごく普通の女の子の目線で指摘してくれるので、ソラ自身も参考にできる。彼女の指摘はこれから行う数多くの恋愛の参考になるだろう、イリアが教える注意点をカディオに伝えると話す。
「カディオさんは、いい人だと思うわ」
「それを聞いたら、あいつは喜ぶ」
「イメージとして、とことん尽くしてくれて……」
「尽くした方がいい?」
そのように言うイリアに、ソラはちょっと焦ったような表情を浮かべる。彼は男女の恋愛についてあまり詳しい方ではないので、きちんと付き合っていけるかどうか迷いが生じたのだろう、ついつい尋ねてしまう。それについてイリアは頭を振ると、ソラはソラのままでいいと返す。
しかしそのままでいいと言われても、ソラの性格上気が引けてしまう。誕生日や記念日という特別な日に何かプレゼントを贈ると約束するが、だからといって今まできちんと何かを贈ったという記憶は殆んどない。だから途中から、発している言葉が小さくなっていく。
「期待しているわ」
「……う、うん」
気恥ずかしいが、このようなことで感じることができるささやかな幸せ。ソラは照れ隠しするかのように飲み物を一気に飲み干すと、イリアから視線を逸らす。彼の仕草が愉快だったのだろうイリアは口許を緩めると、ソラと同様に自身に訪れたささやかな幸せを噛み締めていた。