エターナル・フロンティア~後編~
第三話 示す道
イリアにとって今、とても幸せだった。
長い年月幼馴染という関係のまま、何処か曖昧な日々を過ごしていたが、やっと互いの気持ちが通じ合い結ばれることができた。
恋人関係になったということで以前と違い、連絡の回数が増え携帯電話で楽しいお喋りもしている仲だ。
だが、互いの忙しい身なので、連絡は毎日とまではいかないが、心が通じ合っていることはメールと電話で認識できるので、会えない日々の方が多くても二人の関係が切れることはない。
そして今日、イリアはパソコンの前に腰掛け、ソラ宛にいつものメールを打っていた。
ソラ、仕事は大丈夫?
私はアカデミーの時代と違い忙しいけど、充実しています。
メールのはじまりは、このようなものであった。
イリアが心配するのは、ソラの身体の状態。
薬漬けに等しい彼の身体はボロボロといっていいもので、油断すれば倒れ入院してしまう。
科学者(カイトス)の世話になればいいが、ソラは科学者を嫌っているので無理強いはできない。
だからこのようにメールと電話で体調を心配し、ソラの体調を気にかけている。
勿論ソラはイリアの気持ちに気付いているので、きちんと体調を伝え無理をしないことを約束するが、立場が立場なので時折無理をしてしまうという矛盾した行為を取ってしまうことが多い。
きちんと寝られる時に寝て、栄養価が高い食事を――
無理した時は、イリアは必ずそのような言葉をメールの文章に加える。
それだけイリアはソラの身体を心配し、体調を崩さずに生活を送ってほしいと思っている。
イリアは慣れた手付きでキーボードを打ち、文章を作成していく。
一通り作成し終えると、登録してあるアドレスに送信。
これ以上パソコンを使う用事はないのでイリアはすぐに電源を落とすと、椅子から腰を上げ一階へ向かう。
先程までキッチンで片付けをしていた母親は買い物に出掛けてしまったのか、リビングには誰もいない。
しかし、いつものことなのでイリアは特に気にすることはせず、冷蔵庫を開く。
イリアが冷蔵庫の中から取り出したのは、果汁100%のリンゴジュース。
普段使用しているお気に入りのマグカップを手に取ると並々とリンゴジュースを注ぎ一気に飲み干そうとするが、途中で苦しくなり半分だけ飲む。
そして一息付いた後、残りのジュースを飲み干した。