エターナル・フロンティア~後編~
その考えに、ソラは同調する。彼もインターネットを使用し、紙媒体の本を探し購入している。そのことをユアンに話すと、古い物を手に入れるに難しい時代になったと嘆きだした。
ユアン曰く「古い物を蔑ろにしていいものではない」という。今の者達は「古臭い」と言いそれらを馬鹿にしているが、それが存在したからこそ今に繋がっているということを忘れてはいけないと付け加える。
彼の言葉を聞きつつ、ソラはユアンの周囲にいる人物を思い出していく。今の言葉を聞いたら、その者達は何と言い返すだろうか――いや、これに関しても彼等は勝利することはできない。
世の中、完璧な人間はいないと言われているが、ユアンの場合はどうだろうか。唯一の欠点といえば性格面とソラは上げるが、彼は裏と表の使い分けが上手く尚且つ弁論に長けている。彼の本質に気付いているのは少人数で、多くの者が彼の偽りの部分に騙されている。
ソラはユアンを一瞥すると、太股の上で丸くなっているリオルの身体を撫でる。すると遊んでくれると勘違いしたのか、リオルはソラの手に鼻先を擦り付け可愛らしい声で鳴きじゃれだす。仲のいい両者の関係にユアンは口許を緩めるが、彼等の関係を邪魔することはしない。
ただ、ユアンは無言で車を走らせ、ソラが似合う服が売られている店へ向かう。そして目的の店に到着すると、リオルを車の中に残しユアンはソラと二人で店内の中へ入って行った。
ソラから切り離されたことにリオルは抗議の唸り声を発するが、それを聞いてくれる相手はいない。それにロックされた扉を自力で開かせるだけの能力は持ち合わせておらず、助手席でソラの帰りを待つ。だが、リオルの性格上大人しく待つことはできず、その場で行ったり来たり。
時折、後方で立ち上がり窓の外の光景を眺めるが、ソラとユアンの姿は全く見当たらない。そのことに寂しさが込み上げてきたのか、リオルは助手席でソラを求めるように切なく泣き出す。
泣き出してから、どれくらいの時間が経過した頃か。泣き疲れたリオルがうとうととしていると、助手席のドアが開く。その音にリオルは顔を上げると、思わず目の前の人物に飛び付いた。
「……リオル」
反射的に両腕でリオルを抱き締めると、長く待たせてしまったことを詫びる。しかし店内に動物を連れて行くわけにもいかないので今回は仕方がないが、このように寂しく待っていたことを知ると心が痛み出す。
ソラはリオルの頭を撫でた後助手席に座らせると、ポケットに仕舞い込んであった青色の首輪を取り出す。それを首に取り付けると、これが似合うかどうか遠巻きで確認する。