天才に恋をした
翌々日の夜、まだ背広姿のままの親父に報告した。


「分かった」

と親父は言った。


「苗ちゃんが選んだことなら、それでいい」


それ以上、何も言わなかった。

もっとゴチャゴチャ言われると思ったのに。



親父はサバサバした顔で、リビングから出て行った。


親父は、苗を信じてるんだ。

ずっと、初めて会った日から。


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