speed star〜速さの先へ
第1夜
F県K市K都市高速Yサービスエリア

夜も遅く日付が変わった頃、

何処からともなく次々轟音を響かせ現れる
大金と愛を沢山詰め込んだ数多のチューニングカー達それを見つめる一人の男

男(そろそろ集まってきたな…この中で一番速い奴は誰なんだ…)

その時集まったチューニングカーの列の真ん中をある一台の車が通って来た

男(ん?あれは…スープラ)

闇に紛れんばかりの漆黒のトヨタJZA80スープラ

走り屋の男が大きな声で叫ぶ

和毅さーん!!!!

男(和毅…あいつがここの高速で現役最速と呼ばれる闇の彗星、桐谷和毅か)

桐谷和毅、19歳。K市でも有名なチューニングショップ、バーストレーシングの社長の一人息子で彼の乗る愛機スープラは
バーストレーシングのデモカーであり
推定馬力は700馬力を叩き出すエンジン
2JZは彼の自慢でありトップスピードも
300㌔を楽に出す姿はまさに彗星だと
地元の走り屋から一目置かれる存在

和毅(さーってと!今日も気合入れて走り行くぞ!)

その姿を見た男が少し微笑みを浮かべながら呟く

男(ターゲットは決まった…Z、初戦の相手は
あのスープラだ…きっちり墜とすぞ)

そう呟いた男は自分の愛機に乗り込む

その車はマンハッタンカラーの

日産フェアレディZ S130

キューキュキュキュ、コァァァアンゴァァン!!

1速アクセル全開で飛び出したZは

先にスタートしたスープラを全速で追いかける

和毅(今日も雑魚ばっかりか…)

そう言い落ち込みながらもアクセルを軽く踏み込んだその時だった

ゴァァ!!!!突如後方から聞こえる聞き覚えのないエンジンサウンド!

和毅(何!いつの間に?!こいつは?!けど後ろに付かれてのんびり走る気はねーよ!)

和毅が右足に力を込め全力でアクセルペダルを踏み込みエンジンフードを上げる!

ボワァァァァァア!!プシャ!オァァァ!

和毅の愛機スープラが全開体制に入ると同時に後ろの車も和毅に対し撃墜体制に入った!
コァァァァァアア!プシャー!ゴァァ!!

聞き覚えのないエンジンサウンドに戸惑う和毅

和毅(なんだこのエンジンサウンドは
全く聞いた事ねーぞ?こいつこの辺の走り屋じゃねーよな、って事はよそ者か…
なら絶対負けらんねーよ!!)

和毅が引き離しに入り4速からギアを5速えとリズムよくチェンジしそのまま6速トップエンドに差し掛かろうとした
その先には右の中速コーナーが見える

和毅(チッ!!!)

和毅は気づいた、右の中速コーナーのイン側に一般車がゆっくり走っている事に

和毅(このままアウトから行く!)

そう言い右から左にレーンチェンジしたその時!

ゴァァァァァァ!!

和毅(なっ!!!バカ野郎!てめぇイン側に一般車が居るのが見えねぇのかよ!!)

相手の車は自分の車線上に一般車か居るにも関わらずアクセルを踏み込む! そしてその時和毅の目には信じられない現実が見えた

和毅(えっ!!)

相手の車は旧式のフェアレディZ S130

そしてそのZはコーナーの新入と同時に

一般車とアウト側に居る和毅のスープラの間をすり抜けアウト側にすり抜けたのだ!

和毅(嘘だろ…感覚で分かるってのか…
俺と一般車の間は丁度車一台分だけど
そこをなんのためらいも無く一発で突いてきやがった…)

和毅は悟った、このドライバーには勝てないとそして同時に強い憧れが出てきた
そしてただずっと見つめていた。

前を堂々と走り去るS130Zのテールを

和毅(あいつは一体何者なんだ、あのZは
一体…)ただ呆然とする和毅

そして…




男(いい腕だったな、けどまだまだだな)

そう言い男はその先のインターに姿を消した



これはこのZのドライバーと

そのZに初めて黒星を付けられた現役最速の走り屋だった和毅と

その仲間たちである走り屋達の

熱くも、激しくも、走りに命を賭けた男達の物語である
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop