Sugar&Milk
仕事を終え8時半に待ち合わせのファミレスに行くと、相沢さんが先に席で待っていた。
「どうも……」
「お疲れ様です……」
「すいません、お仕事帰りに」
「別にいいです……」
学生で賑わうファミレスは、ちょうどよく私と相沢さんの会話をかき消してくれそうなほど騒がしい。
長居したくはないからドリンクバーだけを注文しようとしたけれど、相沢さんは店員にチーズケーキとドリンクバーを注文する。私も相沢さんに合わせてチョコレートケーキとドリンクバーを頼んだ。
「ドリンクは何にしますか? 私持ってきます」
私の気遣いに相沢さんは「あ、いえ、自分で行きますから」と遠慮する。荷物を置いて二人でドリンクバーのコーナーへ移動する。
気まずくて仕方がない。相沢さんとは世間話すらしたいと思えない。本音は今すぐ帰りたくて堪らなかった。
席に戻ってもしばらく無言で持ってきたコーヒーを飲んでいた。要件を済ませて少しでも早く帰りたい私は「話って何ですか?」と切り出した。すると相沢さんが私の顔色を窺いながらやっと口を開く。
「あの、お時間作ってもらってすいません……」
「すみませんが私は明日も仕事なので早く帰りたいのですけど……」
「そうですよね。この間は失礼なこと言ってすいませんでした」
「いえ」
どのタイミングの失礼な態度を謝っているのだろう。
相沢さんに苦手意識しか持っていない私は、全てが失礼なことに思える。こうして時間を奪われていることさえも。恐らく直近の告白宣言のことに対する謝罪だろうと思い、とりあえず受け入れる。
「失礼な態度は謝ります。だから嫌がらせはやめてもらえますか?」
「え?」