Sugar&Milk
「お店の本社に、私に対するクレームを言うことです……」
「ちょっと、何のことですか?」
「お待たせいたしました」
ちょうどその時店員がデザートを持ってテーブルの横に来た。話が中断され、モヤモヤとした気持ちが溢れる。
嫌がらせって何? 私の方が嫌がらせをされていると思っているのに……。
店員がテーブルを離れた途端に聞き返した。
「何のことですか? 私本社にクレームなんてしてませんけど……」
「言葉が汚いとか、声がうるさいとか、本社のホームページから送りませんでしたか?」
「何を言ってるのかさっぱりなんですけど……」
本当に理解できなくて困ってしまう。
「彼女さんがしたんじゃないんですか?」
「だから、本当に何のことを言っているのか分かりません。私じゃないです」
「そうですか……」
相沢さんは安心したような、納得していないような、複雑な顔をしている。事情は分からないが私が疑われていたことに気分が悪くなる。
「何かあったんですか?」
「…………」
「話があるって呼び出されて何かを疑われてたって知ったら、私も気分がよくないです」
「そう……ですよね。すいません……」
相沢さんはチーズケーキを一口食べると、そのままテーブルに視線を落とす。
「この間本社に苦情……というかご意見があったんです。お店で店員の私語がうるさくて、内容もすごく不快だって……」
相沢さんはコップにさしたストローをくるくると手で回す。
「名指しされたわけじゃないけど、私だけにきた苦情だなって分かったんです。その時お店が忙しくて、後輩への指示が命令口調になってたので……あの時は忙しくて私は客席が見えない場所に居ました。だからもしかして彼女さんがお店に来てて気づかなかった。そして彼女さんが本社に連絡したのかなって……」