Sugar&Milk

「山本が相沢さんを好きって気持ちは動かせないです」

「そうですか……」

今の言葉はちょっと意地悪だったかな……。
相沢さんのしゅんとした顔を見て言い過ぎたかもと少し後悔する。

「もう瑛太くんには告白しました?」

「いえ、まだです」

「そう……」

私は野菜ジュースを一気に飲み干した。

「どうぞ、告白していいです」

「え?」

「相沢さんに気持ちを乱されて瑛太くんとの関係が終わるなら、それまでだったってことです」

もう既に乱されて拗れている。私の言葉を信じることができないくらい気持ちが離れてしまっているとしたら、それまでの関係だったのだ。

「余裕なんですね」

「余裕な訳ないでしょ。私が浮気してるかもって瑛太くんに言ったからケンカしてるのに」

覚えがあるのか相沢さんは目を逸らす。

「嫌がらせしているのはどちらですか? 中山くんに本気なら卑怯なことをするよりも堂々とした方が彼は受け入れてくれると思いますけど」

「むかつく……」

「え?」

「その余裕がむかつく」

相沢さんは顔を上げてチーズケーキの残りを食べ始める。

「彼女だからって余裕と、大人だからっていう余裕を感じます」

「何それ……」

時間を作って会いに来たのにむかつくなんて言われた。腹が立つ態度を見せているのはこの子なのに。
カチッと音を立てて相沢さんはフォークを強くケーキに刺した。

「さっき彼女さんは苦情をもらった私に自分が成長できるチャンスだからって言いましたよね。それ、中山くんにも言われたんです」

「そうなの?」

「考えが似てるってことですよ。彼女さんと中山くんが」

相沢さんはまた泣きそうな顔になる。

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