Sugar&Milk
朱里さんのメッセージの最後に可愛いスタンプも送られてきた。今までの暗いやり取りを長引かせないよう明るいメッセージにしてくれたのだろう。どこまでも気を遣わせているようで心苦しい。明日はちゃんと謝らなくちゃ。
大学の食堂で元カノを見つけたときは、もうこれは前に進むために神様が仕向けてくれたのではないかとさえ思った。今まで何度か見かけていた元カノをずっと避けてきたけれど、俺に告白してくれて付き合ってくれた少しの時間は楽しかったから、話をするべきだと思った。やっとそう思えた。
タイミングよく元カノは一人で、誰かを待っているのかスマートフォンを見ている。
元カノと先輩がその後付き合っていると人伝に聞いた。やっぱりそうかと当時は落胆したけれど、今はその過去を何とも思わない。先輩は去年卒業していったし、もう俺たちのことを気にしてくる人も減っていたから。
ただ一つ、浮気するくらい何が悪かったのかを知りたかった。後腐れなく前に進むために、一人座る元カノに近づいた。
「久しぶり」
顔を上げた元カノは俺を見て驚いた顔をする。
「瑛太くん……」
「元気?」
「ああ、うん……」
「今いい?」
「え?」
俺は隣のイスを指すと元カノは小さく頷いたからイスを引いて座った。
「すっげー今更なんだけど、どうして俺と付き合ってた時に浮気したのか聞きに来た」
「え……あの……」
元カノは戸惑っているのか目を泳がせる。それはそうだ。いきなり現れてこんな質問は驚くに決まっている。時間がたちすぎて事情を聞かなかった俺の方が悪い気さえしている。
「家に行ったらドアの前でキスしてるの見たんだ」
「えっと……ほんとに見たの?」