Sugar&Milk
会計まで終えると離れた瑛太くんを探す。近くにいるかと思ったのに瑛太くんはなかなか見つからない。二人分のプレゼントを選ぶのにかなり時間がかかってしまったから、瑛太くんも遠くまで買い物に行ってしまったのだろうか。
電話をかけてみても繋がらない。もしかしてまだ電話をしているのかもしれない。
しばらく歩いて探すと、ソファーが複数置いてある休憩スペースに瑛太くんが座っているのが見えた。近づくとやっぱり電話をしている。
「……お願いします。休み明けに俺がやるんで、とりあえずその方向で」
仕事の話だろうに瑛太くんは始終笑顔で、何か面白いことでも話しているのか噴き出している。
何がそんなに面白いのかな? 相手店長だよね? 私、上司と話してあんなに笑ったことないんだけど……。
私が近づくと気づいた瑛太くんは「じゃあお疲れ様です」と通話を終える。
「待たせてごめんね」
「大丈夫。俺も仕事の電話してたから」
「ずっと電話しっぱなし?」
「そういうわけじゃないけど、長電話ではあったかな」
「店長と仲いいんだね……」
ちらっとしか見たことのない私より少し年上の女性。人懐っこくて甘えたがりの瑛太くんはもしかして年上が好みなのだろうか。近くに楽しく仕事をさせてくれる人がいて、仲がよくて、休日にも電話しちゃうような関係で……。
「行こうか」
ソファーから立ち上がった瑛太くんは勝手に落ち込む私の手を握る。
「買い物終わり?」
「うん……」
「じゃあ俺んち行こう」
私が嫉妬でモヤモヤしているのに気づかない瑛太くんは足取り軽く車へと向かう。
この3年間私は瑛太くんを忘れられずに恋人を作れなかったけれど、瑛太くんはどうだったのだろう。言わないだけで他の女性と恋愛をしていてもおかしくない。私だけって決めなくてよかったのだ。