Sugar&Milk
「ごめん、驚くよね。付き合い始めたばっかりなのに。でも俺はずっと考えてた」
顔を真っ赤にして持ったフォークをお皿の上に置く。
「入籍のタイミングはいつでもいいんだ。朱里さんがいいって思ったときで」
「それって……」
「婚約って形。この先の人生、朱里さんのそばにいていいんだって確約がほしい。俺のそばからも離れないって約束も」
目が潤んでくる私を見て瑛太くんは微笑んだ。ポロポロと涙が溢れて袖で涙を拭くと瑛太くんは私の手からフォークを取る。
「泣かないで。フォーク顔に当たるよ」
再会してから泣いてばかりだ。子供に退化していく私を瑛太くんは受け止めてくれる。
「重荷じゃない?」
思わず不安に思っていたことを口にする。
「何が?」
「瑛太くんにはまだ可能性がいっぱいあるよ? 私一人に縛られることはない。私だけだって決めちゃうことはないよ」
「まだそれを言う?」
焦ったような、悲しんでいるような顔をする。でも私はまだ不安だ。
「瑛太くんは別れたとき私に待たなくてもいいって言った。この3年の間にもし私に新しい恋人がいたり、瑛太くんのことを忘れていたらどうしてた?」
「他の男と付き合ってたり結婚しちゃってたとしても、俺は朱里さんに一度は会おうって思ってた」
涙が止まらない。それを見て瑛太くんはティッシュを1枚とって私の涙をぬぐう。
「未練たらたらでごめん。ストーカーみたいでごめん。でもどんな結果でも朱里さんに感謝してたと思うよ。朱里さんとの時間がなかったら俺は自分の未来のこととか考えなかったし、そのために努力したり生活を変えようなんて思ってなかっただろうから。感謝を伝えはしただろうな」