Sugar&Milk
中山くんが少しだけ怒っているように感じたから私は焦った。
「お子様……ってほど子供扱いはしてないけど、私が大学生の頃と重ねちゃって若いなとは思うよ」
「でも4歳しか違いませんよ?」
「んー……でも学生とは感覚が少し違うかも」
「俺は感覚が違うって思ってないです。というか思いたくないです!」
眉間にしわが寄るのを見て更に焦った。やっぱりこの子は怒っているのだ。
「食事代くらい俺だって出せます。そりゃあ朱里さんよりは全然稼げないけど……」
さっき私が全額出したことで中山くんのプライドを傷つけてしまったのかもしれない。
「気を悪くしたならごめんね……」
なんだか気まずくなってしまいお互い地面を見つめて黙って歩く。
学生だということを意識するのを嫌がっているんだよね……。でも私、こんな接し方しかできないよ……。
「朱里さん」
「はい……」
「俺どうしたらいいですか?」
「え?」
「朱里さんと対等になりたい」
思わぬ言葉に立ち止まる。中山くんも立ち止まって私と向かい合う。
「えっと……」
対等? 大学生の男の子とどうやったら対等になれるんだろう?
言葉に詰まる私に中山くんは一歩近づいた。
「朱里さんに釣り合えるよう大人になるから、待ってて」
私を見つめる表情が今まで見たどんな中山くんよりも色気があって、思わず「うん……」と頷いてしまった。
「俺のこと何でも教えます。何でも話します。でも一番重要なことは今知ってください」
「何……?」
戸惑う私の体を中山くんは引き寄せて抱き締めた。
「ちょっと……」
駅前の人通りの多い場所で抱き締められて恥ずかしくなる。