Sugar&Milk

相沢は一つ年下で、俺が通う大学に程近い短大に通っている。年下とは思えないほど気が強くて、同時期に入ったからか俺にはタメ口で話す遠慮のない関係だ。同じ時間帯にシフトに入る者同士なので何かと助け合ってきた。

ランチタイムのお客様が落ち着きかけてきたとき、朱里さんが突然男の人と店に来た。しかも男は二人。一人は見覚えがある気がするけれど、もう一人は恐らく初めてだ。
朱里さんがレジの前に立つと、オーダーを言う前に「ホットの紅茶でよろしいですか?」と言った。朱里さんが頼むものは分かっている。
暖かい日はアイスティー、涼しい日はホットティーだ。必ずガムシロップとミルクか、砂糖とミルクをつける。自然と覚えてしまった。彼女の好きなものを。

メニュー表を見ながら三人は笑顔を交えながら選んでいる。遠慮のない会話の様子から仲が良さそうなのが分かって胸がざわつく。俺と二人きりではなかなか会えないからカフェに来てくれて嬉しいはずなのに、この人たちはまだ俺の知らない朱里さんを知っているんだろうなと思うと悔しかった。

二人とも背高くてカッコいいじゃん……仕事できそうだし……。

朱里さんの笑顔を思い出した。まだ数回しか見たことがない顔を、仕事関係の人は何度も見られるんだよな……と、くだらない嫉妬をしてしまう。
社会人になると恋愛での出会いは職場が多いだろうし、もしかしたら朱里さんの元カレも身近にいたりするのかもしれない。俺よりもこの二人の方が朱里さんと居ても不自然じゃない。
俺も朱里さんと釣り合う男になりたい。
早く仕事が終わらないかな。そうしたら、今夜は電話をしてみようか。

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