Sugar&Milk
「朱里さんが俺と過ごしてくれるなら年が明けてから帰るつもり。朱里さんは? 実家に帰らないの?」
「うーん……実家遠いしね。行き帰りで疲れるからあんまり帰ってないんだ」
「じゃあ一緒に過ごそうか」
「私と過ごすのでいいの?」
「なんか、年の初めから朱里さんと居たいって思ったから」
「うん」
彼といる全てが心地良い。時間も体も、私を全力で求められて胸がきゅうっと疼く。
「あ、その前にクリスマス! 毎年クリスマスはバイトなんです。ケーキ販売で忙しくて。でも夜は朱里さんに会いたい」
「クリスマスか……私も仕事かな。でも、何とか調整してみるね」
「楽しみ! 一生の思い出にする!」
一生の、なんて大げさなと笑う。これからもっと色んなことを経験していくだろうに。
あっという間に過ぎてしまった学生時代を思い出す。毎日いろんなことを考えて、悩んで、楽しかったな。私は瑛太くんのそんな時間の一部になっている。それが不思議で、嬉しい。そして、私でいいのかなと不安な気持ちも湧いてくる。
体をより一層近づけて瑛太くんの鎖骨にキスをする。
「朱里さん?」
「…………」
瑛太くんの体も横を向き、腕が私の腰に回る。瑛太くんの全てが私を包んでいるような感覚になった。
「やっぱ何かあった?」
「何にもないよ……」
こんなモヤモヤした気持ちなんて捨ててしまいたい。今目の前のこの子が愛しい。それだけで気持ちをいっぱいにしておきたい。
「言ってね。ちゃんと言わないと伝わらないから」
「瑛太くんも言いたいこと言ってね」
「じゃあキスしたいんですけど」
「それは許可取らなくていいって」
瑛太くんの唇が私の唇に触れ、腰に回った腕が滑るように体のラインをなぞって下りる。瑛太くんの唇と指の感触で嫌なことを忘れようと、体を撫でる刺激に浸る。
瑛太くんにあの子とどれぐらい親しい仲なのか聞きたくて堪らない。
それでも聞けないのは、嫉妬していると思われたくない、大人だと思われていたいというプライドが邪魔をしていた。