Sugar&Milk

俺はシフト表を見た。メールに記載されているお客様が来店した日時にオペレーションに入っていたのは相沢と、他に後輩が二人の三人体制だった。
どの店員が不快だったのかはこのメールには書いていないが、恐らく相沢のことだろうと思った。他の二人は俺と相沢の後輩だ。声が特別大きいわけでもないし、相沢の前で汚い言葉を使うような子たちではない。

相沢は気が強いところがあり、声ははっきりとしていてよく通る。時々俺もヒヤッとする棘のある言葉を吐くことがあった。相沢が私語で注意されるのは今回が二回目。秋に男性のお客様が同じく本社のホームページから連絡をしてきた。
それに、ついこの間も相沢はお客様とトラブルがあった。陳列しているパンを買いに来た男性が、入り口の横に置かれた専用のトレーとトングを使わずに直接素手でパンを掴んでしまったことに相沢が注意したのだ。欠点であるきつい言い方にお客様が逆上した。店内で怒鳴り合う事態になりその場にいた俺が治めようとしたけれど、結局先輩が対応して残業させてしまった。それが記憶に新しいから今回も自然と相沢を疑ってしまう。

メールを印刷したコピー紙には本社の部長からの言葉も印字されていて、『店舗全員に対するご意見だと思って。全員で私語には気を付けるように』と書かれていた。俺も仕事に関係のないことを何度も店内で話していた。確かにこの意見を受けた従業員だけの問題ではない。

コンコン。

事務所のドアをノックする音がした。

「どうぞ」

声をかけるとドアが開いて相沢が顔を出した。

「中山くんおはよう」

「おはよ……」

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