ハイカロリーラヴァーズ

 +

「……そう。辞めるのか。寂しくなっちゃう」

「校長に言いに行く前に、リエちゃんには話そうと思って。ごめんね。早く来て貰って」

「ううん。ありがとう」

 朝早くからやっているカフェに、リエちゃんとふたり、お茶してる。

 話したいことがあるからと、無理言って出勤前の時間を貰った。少し早めに出勤しようと思っている。他の職員に会いたくないからだ。

 駅東口のカフェ。朝食を食べている人や、出勤前に一息入れている人、様々。学生の姿もちらほら。勉強しているのかな。

「仲の良い生徒にちょっと聞かれることもあるんだけど、あたしなにも知らないから、喋ってないし」

「ごめんね、迷惑かけて」

「あ、別に迷惑だと思ってないよ。卑怯な松河を殴った青司くんに拍手だわ」

「全然良くないことだけどね……」

 今回の騒動の原因も話した。びっくりしていたけれど、真剣に聞いて「松河クソだしクズ」って青司と同じことを言っていた。

「彼氏と別れて、青司くんと付き合ってるの?」

「うん。まぁそうなるね」

「ふうん。まあ深くは聞かないけど」

 あたしは時計を見た。そろそろリエちゃんと別れなくちゃいけない。もうちょっとお喋りしていたけれど、そうも行かない。

 今日は朝から、温い雨が降っている。

「傘忘れないように」

「うん。リエちゃんも」

 傘を持って、カフェを出る。

 続々と駅から人が出てくる。出勤ラッシュだ。あたしは、今日で終わるけれど。仕事をしているから「仕事サボって昼寝したい」なんて思うんだろうね。

「あー仕事行きたくねー! 華ちゃん居ないからつまんないよ」

 絶妙なタイミングでリエちゃんが言うもんだから、笑ってしまった。

< 119 / 139 >

この作品をシェア

pagetop