ハイカロリーラヴァーズ
その日は軽く飲むためにフードバーに来ていた。あたしは業務があって予備校の閉校時間まで居たし、青司は自習室で漫画本を読んでいたそうで(勉強しろ)遅くなっちゃったから、適当に入った店だった。外で楽しく買い物なんかしない。食欲と性欲しか満たさない。
気軽に入れますって感じのバーは、若い客層で全部の席が埋まっていた。笑い声とかを背中に、カウンター席に座っていた。
「可愛いデザインだったから、自分へのご褒美に買ったか、彼氏に買って貰ったか。華さん、派手で金遣い荒そうな感じしなかったから、自分へのご褒美は無いなっていう、消去法」
「ふうん」
この男は……眉間に皺を作りそうになった。
何気なく右手の指輪を見る。青司の推理は見事に当たっている。その能力、どこかで役立てれば良いのに。華奢なピンクゴールドの指輪。プレゼントで源也に貰ったものだ。
「俺だって、誰でも良いわけじゃないし」
「こいつ頭悪そうで、すぐヤれそうだなって? そう思ったんでしょ」
「そういうこと言うなって」
青司は、頭の良い人特有のしゃべり方で(これはあたしが勝手に思う印象)その時飲んでいたカクテルのグラスをテーブルに置いた。
適当なつまみが並ぶテーブル。青司のzippoと煙草。
「つき合うようになって最初の頃に貰った指輪。プチプラだけど、でも悪い物じゃないよ。一緒に買いに行ったんだけど」
右手薬指にしか入らなかったからという理由でそこにはめている。もちろん左手薬指にはめたかったんだけど、サイズが合わなかったのと、エンゲージリングでもないのに左手薬指にはめてもね……と思ったからだ。
誕生日でも何かの記念でもなく、源也がなんとなく買ってくれた指輪。嬉しかった。
「浪人バントマンの俺なんかが、買ってあげられるような物じゃないね」
あたしには「そういうこと言うな」とか言っておいて、自分では平気でそう言う。
青司はとても自分を卑下していて、時々あたしの恋人の源也と自身を比べていた。浪人しているのも関係している。
浪人してるし、バンドやってるし、華さんの彼氏とは違うし。そんなことを時々言う。
今度こそ合格しないといけないとは思っているはずだ。ものは考えようだけど、失敗してもまた受験しようという気持ちの強さは凄いと思う。青司にそう言って励ませば良いのかもしれないね。
気軽に入れますって感じのバーは、若い客層で全部の席が埋まっていた。笑い声とかを背中に、カウンター席に座っていた。
「可愛いデザインだったから、自分へのご褒美に買ったか、彼氏に買って貰ったか。華さん、派手で金遣い荒そうな感じしなかったから、自分へのご褒美は無いなっていう、消去法」
「ふうん」
この男は……眉間に皺を作りそうになった。
何気なく右手の指輪を見る。青司の推理は見事に当たっている。その能力、どこかで役立てれば良いのに。華奢なピンクゴールドの指輪。プレゼントで源也に貰ったものだ。
「俺だって、誰でも良いわけじゃないし」
「こいつ頭悪そうで、すぐヤれそうだなって? そう思ったんでしょ」
「そういうこと言うなって」
青司は、頭の良い人特有のしゃべり方で(これはあたしが勝手に思う印象)その時飲んでいたカクテルのグラスをテーブルに置いた。
適当なつまみが並ぶテーブル。青司のzippoと煙草。
「つき合うようになって最初の頃に貰った指輪。プチプラだけど、でも悪い物じゃないよ。一緒に買いに行ったんだけど」
右手薬指にしか入らなかったからという理由でそこにはめている。もちろん左手薬指にはめたかったんだけど、サイズが合わなかったのと、エンゲージリングでもないのに左手薬指にはめてもね……と思ったからだ。
誕生日でも何かの記念でもなく、源也がなんとなく買ってくれた指輪。嬉しかった。
「浪人バントマンの俺なんかが、買ってあげられるような物じゃないね」
あたしには「そういうこと言うな」とか言っておいて、自分では平気でそう言う。
青司はとても自分を卑下していて、時々あたしの恋人の源也と自身を比べていた。浪人しているのも関係している。
浪人してるし、バンドやってるし、華さんの彼氏とは違うし。そんなことを時々言う。
今度こそ合格しないといけないとは思っているはずだ。ものは考えようだけど、失敗してもまた受験しようという気持ちの強さは凄いと思う。青司にそう言って励ませば良いのかもしれないね。