ハイカロリーラヴァーズ
「ええと、これは、その」
「おじゃましました。じゃあね」
何回じゃあねって言ってるんだか。厚化粧はグーの手を口元に当てて「やだぁ」みたいな顔をしている。本当に書類を持ってきたんだかなんだか。この女が「サヤカ」かどうか分からないけど、もうどうでも良い。
出ようとして立ち止まる。振り返って、源也を見る。弱り切った情けない顔をしていた。
「……新しい彼女?」
真っ直ぐ、源也を見た。あたふたして、情けない。もう別れたのに、あたしに対して慌てても意味が無いのに。
「違うんだ、これは」
「どうぞ、ごゆっくり」
女の横をすり抜けて、玄関を出た。あとは勝手にやればいいわ。食事とか洗濯物とか、少しでも気にした自分が馬鹿みたい。
ガツガツと靴音を立てて、エレベーターへ向かう。もういい。関係無い。馬鹿みたい。
「おい、おーい華ちゃん!」
音量を抑えた声で、呼び止められた。忘れてた。青司が一緒に来ていたんだ。このまま帰るところだった。
「ここから見てたら、派手な女が行ったし、玄関でなんかゴチャゴチャ」
「あれ、たぶん浮気相手でしょ」
「ええ~」
エレベーターが来た。ああもう。階段でおりれば良かったのに。
乗り込むと、向こうを見ないようにしてボタンを連打した。
「華ちゃん、壊れちゃうよ」
すぐに1階に着く。そんなに新しいマンションじゃないし、最新型マンションみたいに1階入口でドアを開けて貰うとかいうシステムも無いし。別に無くて良いけど。ああ面倒臭い。
「ああいう人だったのよ。ばっかみたい」
吐き捨てるように言った。バカみたい。自分のことも。
元彼、源也。好きだった人。
でも、なんでこんな風にしか終われなかったんだろうね。あたし達。ね、源也。幸せだった時もあったはずなのにね。
積み上げるのは容易じゃないのに、崩れるのは一瞬だ。それは、信用だけじゃなくて、愛も一緒。
「おじゃましました。じゃあね」
何回じゃあねって言ってるんだか。厚化粧はグーの手を口元に当てて「やだぁ」みたいな顔をしている。本当に書類を持ってきたんだかなんだか。この女が「サヤカ」かどうか分からないけど、もうどうでも良い。
出ようとして立ち止まる。振り返って、源也を見る。弱り切った情けない顔をしていた。
「……新しい彼女?」
真っ直ぐ、源也を見た。あたふたして、情けない。もう別れたのに、あたしに対して慌てても意味が無いのに。
「違うんだ、これは」
「どうぞ、ごゆっくり」
女の横をすり抜けて、玄関を出た。あとは勝手にやればいいわ。食事とか洗濯物とか、少しでも気にした自分が馬鹿みたい。
ガツガツと靴音を立てて、エレベーターへ向かう。もういい。関係無い。馬鹿みたい。
「おい、おーい華ちゃん!」
音量を抑えた声で、呼び止められた。忘れてた。青司が一緒に来ていたんだ。このまま帰るところだった。
「ここから見てたら、派手な女が行ったし、玄関でなんかゴチャゴチャ」
「あれ、たぶん浮気相手でしょ」
「ええ~」
エレベーターが来た。ああもう。階段でおりれば良かったのに。
乗り込むと、向こうを見ないようにしてボタンを連打した。
「華ちゃん、壊れちゃうよ」
すぐに1階に着く。そんなに新しいマンションじゃないし、最新型マンションみたいに1階入口でドアを開けて貰うとかいうシステムも無いし。別に無くて良いけど。ああ面倒臭い。
「ああいう人だったのよ。ばっかみたい」
吐き捨てるように言った。バカみたい。自分のことも。
元彼、源也。好きだった人。
でも、なんでこんな風にしか終われなかったんだろうね。あたし達。ね、源也。幸せだった時もあったはずなのにね。
積み上げるのは容易じゃないのに、崩れるのは一瞬だ。それは、信用だけじゃなくて、愛も一緒。