ハイカロリーラヴァーズ
「ごめんな」

 なんで謝るの。悪いのはあたしなのに。そんな風に言わないでよ。

「青司は悪くないよ。いいの。あたしは青司と居るんだから」

 あたしの髪を、青司は弄んでいる。

「俺のこと、好きなの? まだ聞いてないよ」

「青司」

「俺のこと、好きだって、言ってよ」

 胸が、痛い。なんで痛いんだろう。あたしは、青司と一緒に居るのに。一緒に居る理由。自分で選んで、ここに居る理由。その想いが胸にくすぶって、痛みを発している。

 あまり綺麗な道じゃなかったからかもしれない。始まりが、偽物だったからなんだろう。この痛みは。

 好き。好きだよ。なんか、ここで言うとそれこそ偽物みたいに聞こえてしまうかもしれないけれど。あたしは、青司のことを……。

 口を開こうとした時、青司は天井を向いて、遠くを見るような目で青司が静かに話し出した。

「俺ね、最初に華ちゃんと予備校窓口で話した時さ、なんか張りつめて暗い顔してんなって思ってたんだ」

「……そうなの?」

「そのうちなんか気になり出して……中学生みたいだって笑うなよ」

 笑わないけど、なんだろ。可愛いな。カッコ笑いカッコ閉じ、みたいな。

「そばに、居たいと思うようになった」

「青司」

「そばに居られるなら、なんでも良かった。遊びでも、セフレでも、身代わりでも。なんでも……良かったんだ」

 青司の告白は、なんだか夢でも見ているようで、掴みきれなくて。そんなことを思っていたなんて。知らなかった。

「は、初めて聞いたよ、そんなの」

「初めて言ったもん」

「うう」

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