今度その手をつなぐ日は
地元の友達には言えなかった。


真実から、苦い部分だけを除いて伝えてあった。

『希望してた編集の仕事に就いて、歳上の優しい先輩と恋愛中』


嘘じゃない。


嘘じゃないけど……真実じゃない。



だけど、限界で。


電話の向こうでうんうんと聞いてくれる慎の声がいつもよりうんと優しくて。



「この間は……ありがと。でもさ、全然大丈夫だか……」


言い終わる前に、身体がぐらりと揺れる。


背中に、固い感触。



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