今度その手をつなぐ日は
コンクリートの壁を背にしたあたしに、慎が覆い被さるように立っている、と気が付くのには時間がかかった。


「……慎?」


こんなに、大きかったっけ?


33歳にもなって成長期??


「……お前さ、」


静かな声が降り注ぐ。


「もう、帰ってこいよ」


ドン、と壁をついた慎の手が、あたしの身体の動きを、思考を、封じ込める。


「…………」


言葉が出ない。


だけど、全然嫌じゃない。


まるで、大きなバリアに守られているような。
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