あなただけを見つめてる。



「今、葉月は南高校行ってんだよな?」

「そうだけど……」

「南高校ってけっこう校則厳しかったりすんの?」

「え?校則?」



……あぁ、私のこの姿を見て、きっと校則のせいだと思ってるんだ。



「そんなことないよ」

「……じゃあ、なんかあった?」



私、鳴海に心配されてる?



「何もないよ?」



私は笑顔を作った。

あのね、鳴海。

私はその“なんか”があったら困るから、こうして容姿を地味にして私なりに予防線はってるんだよ。

なんて、

そんなこと、鳴海には言えないけど……。



「そっか。ならいいんだけどさ……」

「うん」



それにしても、鳴海だって変わったよ。

もちろん、鳴海の場合はいい意味でだけど。

会わない2年の間に身長だって伸びてるし肩幅も広くなってる。

黒髪だった髪もすっかり茶髪に変わってて。

中学の時から綺麗な顔立ちをしていたけど、あの頃より幼さが消えて大人びて見えた。

昔から女子に人気があった鳴海だけど、今も間違いなくモテてるんだろうなぁ。




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