あなただけを見つめてる。


もしかしたら、俺が保健室に行ってる間にふたりは教室に戻ってるかもしれないと思ったけど、相変わらず二人の席は空いたままで。



「授業はじめるぞー」



結局、ふたりが戻ってくることがないまま、1限の授業が始まった。


俺は、気になって、先生に見つからないように葉月にラインを送った。



【もうとっくに1限始まってるけどなんかあった?おまえら今どこいんの?】



俺は、ふたりのことがずっと引っかかって、授業なんかまったく頭に入ってこなかった。


つーか、雨降りそうじゃん。


窓から見えた空は、どんよりとした灰色の雲に覆われていた。


そのとき。



制服のズボンのポケットに入れていたスマホがブルッと振動した。


葉月からか?


慌てて、スマホを取り出し、画面に食いつく俺。



【朝陽、おはよ~♪朝から歴史の授業で眠気やばいよぉ。ねぇ、今日少しだけでいいから朝陽に会いたいな!】

< 128 / 299 >

この作品をシェア

pagetop