あなただけを見つめてる。


「失礼します……」



昼休み時の職員室は、珈琲のいい香りが漂っていた。



「お~、葉月こっちこっち」



私に気付いた佐藤先生が手招きしている。

私は周りにいる先生たちに会釈しながら佐藤先生のもとへと向かった。



「せっかくの昼休みに悪いな」



そう思うなら呼びつけないでよ、と思いつつも“いえいえ”なんて言ってしまう私。



「あれ?もう一人の日直は一緒じゃないのか?」

「今日、お休みですけど」

「え?そうだったっか?じゃあ、葉月ひとりでこの量を運ぶのはキツイよなぁ」



ドーンと詰まれている問題集の山を叩きながら笑っている佐藤先生。



「わかった。じゃあ、持てる分だけでいいからよろしく。残りは俺があとで運んで行くから」

「わかりました」



そう言われて、私は問題集の山の一部を持っていくことにした。




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