あなただけを見つめてる。
それから、あっという間に6月に入った。
梅雨入りした東京の空は毎日のように雨が降っていて、このジメジメとした蒸し暑さがマジで鬱陶しくてしかたがない。
「なんか最近の朝陽、イライラしてるよな」
「そうか?このジメジメした天気のせいじゃね?」
俺は陸にそう言われて軽くかわしたけど。
確かに、自分がイラついてることを自覚してたりする。
その理由も心当たりがある。
というのも。
授業をサボったあの日から、葉月の態度が明らかにおかしい。
「なぁ、葉月。なんでいつもラインの返信してくんねーの?」
「ごめんね、最近忙しくて……」
休み時間に話しかけても、そっけない返事しか返ってこない。
挙句の果てには、逃げるようにしてどこかへと行ってしまう。
なんか俺、無意識のうちに葉月に嫌われるようなことでもやらかした?