あなただけを見つめてる。


「けど、ふつう、なんとも思ってない相手に避けられたくらいでイライラする?」


「どういう意味だよ?」


「さっきも葉月さんの言葉に傷付いたって言ってたけどさ、それって朝陽が葉月さんのこと……」



陸はそこまで言いかけて、ふっと笑い出した。



「んなわけねーか!朝陽は人から好かれることはあっても拒否られることはないから戸惑っただけだよな。そもそも、おまえには付き合って二年になる桜子ちゃんていう可愛い彼女がいるしな」


「……まぁな」



確かに、俺には中園桜子(なかぞのさくらこ)っていう、中3の夏から付き合ってる他校の彼女がいるけど。



「なんだよ、“まぁな”って。そういや最近、朝陽の口から桜子ちゃんの名前聞いてないけど、もうすぐ夏休みだし、なんか楽しい予定でも立てたりしてんの?」


「……最近、桜子に会ってないんだ」


「会ってないって、喧嘩でもしてんの?」



俺の言葉に、陸は目を見開いて驚いている。



「べつに、喧嘩はしてないけど」



そのとき。


俺のスマホにラインがきて。



「お!ウワサをすれば、桜子ちゃんからなんじゃねーの?」


「おい、勝手に覗き見すんなって!」



俺が画面を見てると、陸が横から覗き込んできた。



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