あなただけを見つめてる。



「……う~、重い」



問題集を両手に抱え、長い廊下を歩く。

そういえば、中学の時もこんな風に先生にお願いされて重たい教科書を運んだことがあったな。

あの時は、それを見た鳴海が“俺が持ってく”って言ってくれたんだよね。

“女子にこんな重いもの運ばせるヤツの気がしれない”とか言いながら。



「…………」



あの日、鳴海に再会してからなんだかおかしい。

それまでは、鳴海のことをたまに思い出すことはあっても、こんな風にずっと考えてしまうことはなかったのに。



「……はぁ」



2階にある職員室から、教室がある3階まで続く階段を上りきり、廊下に出たその時だった。



──ドンッ!



「うわっ!」

「きゃっ!」



誰かにぶつかった衝撃で、私は持っていた問題集を廊下にまき散らしてしまった。

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